【ブッダの神髄を伝える】

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2021/09/12 23:30


ディズニー映画「ポカホンタス」のなかで、イギリス人青年のジョンが、主人公ポカホンタスに言う甘いセリフがこれ。

I’d rather die tomorrow,
than live a hundred years without knowing you.
「君を知らずに100年生きるよりも、僕は明日死ぬことを選ぶ」

実は仏教にも、「100年生きるよりも」というフレーズを使った有名な偈がいくつかある。そのうちの一つがこちら。

Yo ca vassasataṃ jīve duppañño asamāhito
ekāhaṃ jīvitaṃ seyyo paññāvantassa jhāyino.
愚かに迷い、こころ乱れている人が100年生きるよりも、
智慧があり、おもい静かな人が1日生きる方が優れている。

(Dhp.111)

怖がりな人は、武器を持つ。気の弱い人は、戦いに挑む。自信のない人は虚勢を張り、不満を抱えた人は権力や社会的地位を求めて頑張る。気の弱い人や自信のない人は、成功者や社会で派手に活動している人を手本にする。好戦的な態度は、自信のなさの裏返し。生命は、安らぎ・安穏を期待するが、心の基本衝動は、原始脳から生まれる貪瞋痴だ。原始脳には、正しい判断ができない。貪瞋痴からは、苦しみ・悩み・失望・落ち込みしか生まれない。生命は、期待する目的に達する方向ではなく、期待とは反対の方向へ進んでしまう。最大の敵は、自分自身の心。自分の心の弱さをごまかすために見栄を張り、強そうに振る舞って戦い続けても、ただ虚しいだけ。本当に芯の強い人、自信がある人、能力がある人は、大袈裟に自己主張せず落ち着いている。自然体なので目立たない。

仏教徒にとっては、周りが邪魔ばかりしてくる環境は、良い環境だ。なぜなら自分の修行ができるから。性格が悪い同僚にすごく失礼なことを言われたら、怒らない修行をする。「これほど失礼なことを言われても、私は心を安定させておこう。怒ったらバカだ。この人は、私を嫌な気持ちにさせるために意地悪を言ったのだから、私の機嫌が悪くなったら相手の思うつぼで、私がバカを見る」と、嫌な出来事や悪い状況を、すべて自分が成長するための踏み台にして、梯子に使う。何か邪魔がないと、人間というものは成長しない。ひどいと思われることも一概に悪いとは言えず、被害に遭うことそれ自体は不幸ではない。トラブルにぶつかるのは当たり前だと考えて、逆に人生の踏み台にする。智慧を使えば、悪条件こそ成功の飛び石にできる。悪条件を飛び石にできれば、悩み苦しみの泥にまみれずに歩けるようになる。

私たちは皆、勝利者の道を歩むべき。「うまくいくだろうか。失敗しないだろうか」と常に不安で生きるより、確実に成功する生き方を選んだ方がよい。そのためには心を育て、心を清らかにすべきだ。不安のない人生を送りたいと願ってどんなに計画を立てても、状況次第で結果は変わる。一切の現象は無常で、自分の命さえ、明日ある保証はない。幸せになりたければ、非論理的で無責任な方法ではなく、ブッダが説いた現実的な実践方法で、心を着実に育てなければならない。人格を完成し、幸福に満たされ、悩みを乗り越えて人生を終えたいなら、冥想を実践すること。はっきり言えば、ほかはすべて二の次だ。悪から離れ、本物の智慧を備え、心が落ち着いた状態で冥想を実践する。それが人として生まれたチャンスを最大限に有効活用する、有意義な生き方だと思う。


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