【ブッダの神髄を伝える】

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2021/10/16 16:08


どんな人でも、判断してから行動を起こす。思考は行動の母だから、思考が清らかになれば、人は、おのずから他を助ける行動に移る。たとえ物事が希望どおりに進まなくても、その人に葛藤はなく、落ち込むこともない。清らかな思考は無私だから。

平和を築く行為は、まず沈黙から始まる。私たちの心に平穏がなければ、世界の平和のためにできることはほとんどない。行為でないものが、すべての行為の源泉になる。

仏陀は生涯を通じて、人々に和合の生き方を教えようとした。仏教の和合は、「水と牛乳が混ざり合うように、違う性質の液体を混ぜても見事に同じものになってしまう」という譬えで表現される。仏陀の世界に入ったら、大統領だろうがホームレスだろうが、肩書きがどうであれ、性別や肌の色がどうであれ、みんな仲間として和合するのが最高の幸福。

でも、みんな嫌がってやろうとしない。我を張って、アイデンティティを強調して、個性を発揮したがる。そこで、和合するために必要な仏教の智慧を3つだけ挙げよう。

➊聴く力

相手の言い分をよく聞いて、相手が求めているものを理解する。決して相手の言いなりになる必要はない。相手が何を言いたいのか、何を求めているかを客観的に理解する。聴く力には深さがある。深く聴くためには、自分自身を手放すことだ。言葉さえ手放して、自らの内に平和な心の声が聴こえるよう努める。そうすれば他者の声も聴けるようになり、今まで生まれなかった新しいアイデアが育つだろう。

➋理性

和合は、理性で判断して意識的に選び取る道だ。目的なくフラフラと彷徨う旅ではなく、一歩ずつ歩む旅。組織をつくったら、互いに束縛しあう関係ではなく、仲間として生きていくこと。そのためには理性が必要になる。仏教の中道とは、執着を離れて理性で選択すること、対立を超えること。執着を離れ、対立を超えた心の平静さ(理性)は、あらゆる行き過ぎを調和する。緩すぎず、キツすぎず、丁度よく調律された楽器の弦のように、絶妙に振動して美しい音楽が奏でられる。智慧と慈悲が完全に釣り合い、個人の幸せと社会の繁栄が完璧に調和する。

➌無私の心

和合を築くには、チームワークと協力のスキルが欠かせない。自らの名声を気にかけず、和合のために力を尽くす。自らの名声のために力を尽くすのは、和合の実現を害するだけ。「私を褒めてくれ」と自我を張る人は、あらゆるトラブルを作り出す。和合を築くには、自我を張ることなく、自分の持っている能力でみんなに貢献する。各自の能力を社会のために提供する。自分の能力で周りに貢献すれば、そこに充実感が生まれる。お互いが周りのために能力を発揮したとき、お互いが幸せになる。自分も楽しいし、周りも自然に心が明るくなって、助かった、良かったと喜んでくれる。

ただし、仲間の一部がワガママで頑固で自己主張が激しくて、どうにもならない末期状態のときは、その破滅を見届けるしか他に手立てがないことも覚えておこう。

死に至る病

生命の世界に指導者はいない。管理人もいない。大小の数限りない川の水はどれも違うが、やがて海に注ぎ込んだら一つになる。そのように生命の世界は、お互い支え合うことで成り立っている。人間社会でも、うまく行っているのは「偉大なる指導者のお陰」ではない。人々がお互いに支え合い、貢献し合って和合を保つことで、安全・安心な組織が成り立つ。逆に、組織に問題があるとき、組織がうまく機能していないときは、どこかに「私は特別」という自我の病が見つかるはず。この病は、やがて組織を破滅させ、死に至らしめる。


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