【ブッダの神髄を伝える】

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2021/09/28 11:57


サンガ社を創業した島影透さんに初めてお会いしたのは、20年ほど前、熱海で毎月行われていたスマナサーラ長老の冥想会でのことだった。当時は有髪で、眼光鋭くガキ大将のような雰囲気を発しておられ、参加者の中で異彩を放っていて、まだ学生だった自分には近寄り難かった。ところが、宿泊棟やお風呂場で実際にお話させていただくと、真面目に仏教実践に取り組むフランクで優しい方だと分かって、そのギャップから、逆にとても親近感が湧いた。

アビダンマ講義を書籍化することについて、スマナサーラ長老は売れないだろうという理由で消極的だったそうだ。島影さんは、それでもめげずに仏陀の教えを日本に広めるという大志を抱いて、アビダンマ講義シリーズを初めとする数々の名著を世に送り出していった。あれよあれよという間に日本全国の書店の書棚に長老のコーナーが設けられるようになり、お釈迦様が説かれた仏教の真理とはどういうものかを世に知らしめた。スマナサーラ長老の本が全国各地で入手できる状況を作り出した功徳の大きさは計り知れない。もちろん私もたくさん勉強させていただき、今もこうして学び続けている。

島影さんが、お釈迦様の教えの真髄に触れる機会がなかった日本人の仏教理解に革命をもたらすことに多大な貢献をした一人であるのは間違いない。昨年7月に惜しくも急逝されたものの、人生はただ生き延びても意味はない、何を為すかが一番大事だということを生きざまで教えてもらった。今年1月にはサンガ社が倒産し、関係者はみなビックリしたが、世俗の経営を続けるにはいろんな条件を揃えないといけないし、会社の存続そのものに価値がないのは人間と一緒だろう。

批判するだけで自ら努力しようとしない人は、はじめから不道徳だ。自分で何かを始めてみると、みるみる元気になれる。がんばって努力する行為そのものが、人を明るく元気にする。心穏やかに生きたければ、お釈迦様の教えに従って努力を続けてみよう。一切の現象は因縁によって現れる無常の流れであり、自我とは幻覚なのだと覚えておこう。生きている一瞬一瞬が充実して、死ぬ間際まで明るい気持ちでいられるはずだ。


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