【ブッダの神髄を伝える】

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2021/08/27 20:21


「それいけ!アンパンマン」のオープニング曲の歌詞の一節は『そうだ 恐れないで みんなのために ”愛と勇気”だけが友達さ』。プリンセスが活躍するディズニー映画のテーマも「勇気と優しさ」だ。「アナと雪の女王」は、エルサの魔法の秘密を勇気と優しさで解き明かしていく旅の物語。実写版「シンデレラ」では、主人公エラが、“have courage and be kind” という亡き母の教えを忠実に守ろうとする。このように世間では「優しさ」に加えて「勇気(強さ)」がウケる。

仏陀が説くのは「理性」と優しさだ。勇気ではなく「理性」にフォーカスする。仏教が考える一人前の大人とは、理性にもとづいて、①正しく判断して、②実行できる人のこと。親から「もう寝る時間でしょ」と注意されているうちは子供。寝る時間を自分で夜10時と決めても「ゲームするから11時に寝よう」と誤った行動をするなら、それも子供。「明日は学校があるから10時に寝る」と理性的に判断して、正しく行動できるなら、何歳であろうと立派な大人だ。

仏教は、一人ひとりの人間が、社会人としてきちんと生活することを大きなテーマにしている。社会における役割分担の重要性を説き、社会的動物として、それぞれが果たす役割について深く考えている。その場で期待され、必要とされる役割を的確に果たす人であれば、すべてリーダーだ。上下関係や力の強弱で作られるタテのリーダーシップでは、支配する側と支配される側の2種類に分かれてしまう。このようなことが起きるのは、一人ひとりが自分の責任を果たさず、他人に対して「与えるべきもの」を与えていないから。自分の持ち場で自らの責任を果たし、与えるべきものを与えることで、年齢・知識・経験に関係なく、それぞれが対等なリーダーになる。仏教的にみれば、リーダーとはたった一人の誰かではなく、自分の責任を果たせるすべての人のことだ。

自分の持ち場で責任を果たすには、正しい判断がいる。正しい判断は、穏やかな心に現れるもの。「する」ものではなく、「現れる」ものだ。穏やかな心で、どうなっているのかと現実を見れば、必要な判断は自然に立ち上がる。1+2の答えは、あえて判断するまでもなく、3という答えが自然に心に浮かび上がってくるだろう。正しい判断と、理性的な行動ができないのであれば、勇気だけあっても大人を名乗る資格はない。今この瞬間に、自分が何をすべきか。どうしたら最善を尽くせるか。常に心を穏やかに保って、正しく判断し、自分の責任を果たす。成長の歩みを止めない。知識や財産、名誉を追求するより先に、まず責任を果たせるだけの人格を形成しよう。私たちが人格者になって、さらに富や名誉を求めるなら、この世はもっと良くなる。人格者がリーダーになるのであって、リーダーが人格者になるのではない。



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