【ブッダの神髄を伝える】

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2021/09/20 09:13


嫉妬。それは恐ろしい思考。人間でいながらにして「餓鬼がき」になるということ。餓鬼道の餓鬼たちは、人間の嫉妬や落ち込みなどをエネルギーにして生きているという言い伝えがある。そんな餓鬼は実際には見たことがないが、戒めは理解できる。もし人が、他人の幸福を嫉妬して落ち込んだり、気分が悪くなったりするなら、その人には救いの道がどこにもない。

なぜなら、世界のどこを見渡しても、みんな頑張って生きているから。成功して輝いている人、美しい人、自分より能力のある人はそこら中にいる。そんな人々を見て、いちいち羨んだり落ち込んだりしていたら、どんな場所であろうと生きていくことがツラくてしょうがないだろう。

自分自身のことしか喜べない人間は、なかなか幸せになれないと決まっている。自分以外の世界全部を軽視して恨むことになるから、キリがない。世界を、人類を、一切の生命を敵に回したら、負けるに決まっている。他人の成功に嫉妬したり、憎しみや恨みを持ったりする人は、自らを破壊している。猛毒の池に沈んでいるのと同じで、自分で地獄の世界をつくっている。自分で餓鬼道をつくりながら、「苦しい、苦しい」と騒いでいるわけだ。

そこから脱出するにはどうすればいいだろう? 答えは、人を羨むのではなく、人から学ぶこと。それしかない。餓鬼道から抜け出すには、本人が努力しなくてはいけない。誰も救ってはくれない。仏陀も救ってはくれない。自分の力で頑張らなくては。仏陀は明確に、「人の幸福を、自分のもののように喜びなさい」と教えている。慈悲の心を育てる実践の一つだ。

人の成功を羨むということは、すなわち、自分自身の失敗を認めていることでもある。成功している人がいたら、その人から少しでも学べばいいのだ。親や先生、先輩といった目上の人は、羨む対象ではない。無知無明にうごめく人間は、自分より経験も智慧もある先達から学ばなくては成長できない生き物なのだ。自分の周囲を見回してみよう。そこに目上の成功者がいるなら、仲良くしてもらって、一緒に飲みに行ったりして、いろんなことを教えてもらうといい。人の成功を評価する人は、必ず成功するからだ。

生まれたばかりの赤ちゃんは何もできない。でも、生まれてから猛烈な勢いで、毎日毎日どんどん学んでいく。そうやって死ぬまで学ぶのだ。自分より優れている人、経験のある人に対して、嫉妬や恨みなんか持っていたら何も学べない。それでは幸福な人生を送ることはできない。どんな仕事であれ、どんな生活であれ、学ぶ意識が高い人生は豊かになっていき、学ぶ意識が低い人生は堕落していく。

人を羨む気持ちが生まれたらどうすればいいか? まず、猛毒だと思ってすぐに潰すこと。嫉妬なんかしている自分がいたら、すぐに情けないと思うのだ。そして、相手の成功を自分のことのように喜ぶ。人間だけが、他者の気持ちを感じ、理解する能力を持っている。仏陀が教えるように、人の幸福を自分のことのように喜べたら、生きることが楽しくてたまらなくなる。今まで他者の成功を見て嫉妬したことが、自分の喜びとして生まれ変わるなら、人格的にも成長したことになる。自分の心と周りの心が一つになったような気分になれる。一つの心は弱いが、たくさんの心をつないで行動する心は強い。


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